竜王「もし わしの味方になれば 世界の半分を おまえにやろう」
普通、この問いに「はい」とは答えない。
答えないからこそドラクエビルダーズの「if」という世界が生まれた。
でも、この問いかけには物凄い心を揺さぶるものがある。
だからこそドラクエ1をプレイしたみんなに心に残り続け、ifの世界を描いたドラクエビルダーズという世界が生まれた。
この世界の勇者はifの勇者。
ではこのifの勇者はなぜ「はい」と答えたのか。
ドラクエビルダーズではラダトームの兵士が主人公ビルダーに対してこんなことを言っている。
「お前はいったい誰だ?ずいぶんと緊張感のない顔をしているが」
「安心したぞ!お前のようなものが竜王を倒すなどと、よまいごとを言い出さなくて」
なかなかの上から目線。
そしてif勇者が王様から用意された装備がショボイと言っていた話まで暴露している。
本当にif勇者がそういう表現をしたのかは分からないが、世界を救う大役を任されたのに僅かなお金しか貰えないとなると不平も言いたくなるだろう。
兵士が勇者を下に見るために蔑んだ表現をした可能性もある。
if勇者はたった一人で冒険に出る。
モンスターを倒し、ドラゴンを倒し、姫を助け、それでも死んでしまったときは王様からこんな言葉を言われる。
「おお ****(勇者の名前)! しんでしまうとは なにごとだ! しかたのない やつだな。 おまえに もう いちど きかいを あたえよう!」
機会ってなんだろう。
たった一人、モンスターと毎日戦い続けて、王からはなんの援助もない。
勇者の血筋というだけで、他のものよりも戦いの才能があるというだけで苦労する役目を押し付けられ、不平がどんどん募っていったのではないか。
なんども命の危険にさらされ、さらに死んでもまだ戦わされる。
竜王の元に辿り着いたif勇者の精神はすでに限界だったのではないか。
竜王「もし わしの味方になれば 世界の半分を おまえにやろう」
そんなときにこんな投げかけをされたらどうだろうか。
正常な判断力があるときであれば、これが罠だと気付くだろう。
だけど命を投げ出すような危険な戦いを続け、自分の背中を押すものは誰も一緒に戦ってくれない。
そんな中で自分の力を認めて、世界の半分を褒美としてくれるというものが現れたら。
ドラゴンクエスト1の有名なセリフにこんなものもある。
「ゆうべは おたのしみでしたね」
ドラクエ1の勇者が飢えていたものは愛情や人とのつながりだったのではないか。
となると、ローラ姫こそがこの「はい」の選択を防ぐことができた唯一の人なのかもしれない。
コメントを残す